更新日:2026/08/21
産業廃棄物を収集して、処分場などへ運搬する事業を始めたい場合、「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要になることがあります。
建設業者や解体業者、製造業者などから産業廃棄物の運搬を依頼され、排出された場所から処分施設まで運ぶことを業として行う場合には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づく許可制度を理解しておく必要があります。
この記事では、産業廃棄物収集運搬業許可について、これから事業を始める方にもわかりやすいように解説します。
産業廃棄物収集運搬業許可とは、他人から委託を受けて産業廃棄物を収集し、処分施設などへ運搬する事業を行うために必要となる許可です。
産業廃棄物の処理は、大きく「収集運搬」と「処分」に分けて考えることができます。
たとえば、建設現場から廃プラスチック類や木くず、がれき類などが排出されたとします。
排出事業者から委託を受けた収集運搬業者がこれらの産業廃棄物をトラックに積み込み、処分業者の施設まで運ぶ場合、その運搬を業として行うためには、原則として産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
一方、処分場などで産業廃棄物を中間処理したり、最終処分したりする事業には、別途、産業廃棄物処分業の許可が必要になります。
産業廃棄物とは、事業活動によって生じる廃棄物のうち、廃棄物処理法で定められた20種類をいいます。
産業廃棄物に該当するかどうかは、単純に「事業所から出たごみ」というだけで決まるものではありません。
廃棄物の種類や排出された事業活動などによって判断が異なるため、許可申請をする際には、実際にどのような廃棄物を運搬するのかを明確にすることが重要です。
| 区分 | 種類 |
| あらゆる事業活動に伴うもの | (1)燃え殻 |
| (2)汚泥 | |
| (3)廃油 | |
| (4)廃酸 | |
| (5)廃アルカリ | |
| (6)廃プラスチック類 | |
| (7)ゴムくず | |
| (8)金属くず | |
| (9)ガラス・コンクリート・陶磁器くず | |
| (10)鉱さい | |
| (11)がれき類 | |
| (12)ばいじん | |
| 排出する業種等が限定されるもの | (13)紙くず |
| (14)木くず | |
| (15)繊維くず | |
| (16)動物系固形不要物 | |
| (17)動植物性残さ | |
| (18)動物のふん尿 | |
| (19)動物の死体 |
(20)汚泥のコンクリート固形化物など、(1)~(19)の産業廃棄物を処分するために処理したもので、(1)~(19)に該当しないもの
典型的なのは、他社から依頼を受けて産業廃棄物を運搬するケースです。
たとえば、建設会社から「工事現場で発生した廃材を処分場まで運んでほしい」と依頼を受け、その対価として運搬料金を受け取る場合などが考えられます。
このような場合、単に「トラックを持っているから運べる」というわけではありません。
廃棄物処理法上の許可を取得し、許可された種類の産業廃棄物を、許可された範囲で運搬する必要があります。
なお、産業廃棄物の収集運搬業許可については、原則として事業を行う区域を管轄する都道府県知事等の許可を受ける制度となっています。
産業廃棄物収集運搬業は許可制度とされ、許可の有効期間は原則5年とされています。
産業廃棄物収集運搬業許可を調べていると、「積替え保管なし」と「積替え保管あり」という言葉が出てきます。
【積替え保管なしとは】
基本的に排出事業者から産業廃棄物を収集した後、途中で保管することなく処分施設等へ運搬する形態です。
たとえば、建設現場から産業廃棄物をトラックに積み込み、そのまま処分場へ運ぶケースがこれに該当します。
【積替え保管ありとは】
収集した産業廃棄物を一時的に保管し、別の車両に積み替えて運搬するなどの事業形態になります。
積替え保管を行う場合には、単純な収集運搬とは異なり、保管場所についてもさまざまな要件を検討する必要があります。
そのため、これから産業廃棄物収集運搬業を始める場合、まずは「積替え保管なし」で事業を行うことを検討するケースが多いです。
ここは、これから許可を取得する方が特に注意したいポイントです。
産業廃棄物収集運搬業許可は、「一度許可を取れば日本全国どこでも運搬できる」という制度ではありません。
原則として、産業廃棄物を積み込む場所と運搬先との関係を確認し、必要となる自治体の許可を取得する必要があります。
たとえば、埼玉県内の排出事業場から産業廃棄物を収集し、東京都内の処分場へ運搬する場合には、埼玉県と東京都の許可を取得する必要があります。
産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためには、単に申請書を書いて提出すればよいわけではありません。
大きく分けると、
・申請者の能力に関する要件
・施設に関する要件
・経理的基礎要件
・欠格要件
などを確認する必要があります。
また、申請時には事業計画の概要、運搬車両の写真、運搬容器の写真、事業開始に要する資金の総額や調達方法など様々な添付書類を求められることがあります。
産業廃棄物を運搬するためには、運搬車両についても適切な管理が必要です。
たとえば、産業廃棄物の飛散や流出を防止できる車両を使用する必要があります。
また、産業廃棄物収集運搬車には、廃棄物を運搬していることを示す表示や、必要な書面の備付け・携帯に関する義務があります。
したがって、許可を取得した後も、車両表示や運搬時の書類など、日常の運用について適切に対応する必要があります。
産業廃棄物収集運搬業許可には有効期間があります。
原則として5年間で、引き続き事業を行う場合には更新許可申請が必要です。
環境省の資料によれば、優良産廃処理業者認定制度の認定を受けている場合には、更新期間が7年となる制度があります。
そのため、許可を取得した後も、許可期限を管理しておく必要があります。
産業廃棄物収集運搬業許可を取得する際には、「産業廃棄物を運びます」というだけでは足りません。
具体的にどの種類の産業廃棄物を取り扱うのかを検討する必要があります。
たとえば、建設業者からの依頼を中心に受けるのであれば、廃プラスチック類、木くず、金属くず、がれき類、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くずなど、建設工事から発生する可能性のある産業廃棄物について検討することになります。
ただし、取り扱う廃棄物の種類を増やせばよいというものではありません。
実際の取扱予定、運搬車両、処分先などを踏まえて、必要な品目を適切に設定することが大切です。
産業廃棄物収集運搬業許可の申請は、必要書類の収集から申請書の作成、事業計画の確認、行政庁への申請まで、多くの確認事項があります。
特に初めて許可を取得する事業者の場合、
「どの品目を申請すればよいのか」
「どの自治体に申請するのか」
「車両はこれで問題ないのか」
といった点で迷いやすいところです。
行政書士に依頼することで、事業者自身が制度を一から調べて申請書類を作成する負担を軽減できます。
また、産業廃棄物収集運搬業許可は、申請する自治体によって必要書類や運用上の確認事項が異なる場合があります。
そのため、単に全国共通の申請書を作成するという考え方ではなく、実際の事業内容と申請先自治体の運用を踏まえて準備することが重要です。