更新日:2026/08/22
「産業廃棄物」とは、事業活動に伴って発生する廃棄物のうち、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)で定められた20種類の廃棄物をいいます。
産業廃棄物以外の廃棄物は、原則として「一般廃棄物」に分類されます。
ここで重要なのは、「会社から出たごみ=すべて産業廃棄物」というわけではないという点です。
例えば、建設工事で発生した木くずやがれき類は産業廃棄物に該当します。
産業廃棄物かどうかを判断するためには、「何が捨てられたのか」だけでなく、どのような事業活動から発生したのかまで確認する必要があります。
産業廃棄物は、廃棄物処理法と廃棄物処理法施行令によって20種類に分類されています。
| 番号 | 種類 | 主な例 |
|---|---|---|
| 1 | 燃え殻 | 焼却灰、石炭灰など |
| 2 | 汚泥 | 工場排水処理の汚泥、下水汚泥など |
| 3 | 廃油 | 廃潤滑油、廃食用油、廃溶剤など |
| 4 | 廃酸 | 廃硫酸、廃塩酸など |
| 5 | 廃アルカリ | 廃苛性ソーダ、アルカリ性廃液など |
| 6 | 廃プラスチック類 | 廃プラスチック、合成樹脂くずなど |
| 7 | 紙くず | 紙くず、段ボールなど |
| 8 | 木くず | 木材片、おがくずなど |
| 9 | 繊維くず | 天然繊維くず、畳など |
| 10 | 動植物性残さ | 食品製造業の食品残さなど |
| 11 | 動物系固形不要物 | と畜場・食鳥処理場で生じる骨など |
| 12 | ゴムくず | 天然ゴムくずなど |
| 13 | 金属くず | 鉄くず、アルミくずなど |
| 14 | ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず | ガラスくず、陶器くずなど |
| 15 | 鉱さい | 高炉スラグ、鋳物廃砂など |
| 16 | がれき類 | コンクリート破片、アスファルト破片など |
| 17 | 動物のふん尿 | 畜産農業から生じるふん尿 |
| 18 | 動物の死体 | 畜産農業から生じる動物の死体 |
| 19 | ばいじん | 集じん機で集められたばいじんなど |
| 20 | 上記の産業廃棄物を処分するために処理したもの | 1~19を処理した結果生じたもの |
燃え殻は、焼却炉などで物を燃焼した後に残る灰などです。
例えば、廃棄物を焼却した際に発生する焼却灰などが該当します。
ただし、燃え殻であればすべて同じように扱われるわけではありません。
重金属やダイオキシン類などを一定濃度以上含む場合には、特別管理産業廃棄物に該当することがあります。
汚泥は、工場の排水処理施設や下水処理施設などから発生する泥状の廃棄物です。
産業廃棄物の中でも排出量が多く、工場などから発生する汚泥を処理する場合には、適切な処理方法を選択する必要があります。
なお、汚泥についても、含有する物質や発生施設などによって特別管理産業廃棄物に該当する場合があります。
廃油は、使用済みとなり不要になった油です。
例えば、工場や自動車整備工場などから発生する廃潤滑油、廃溶剤、廃燃料油などがあります。
なお、揮発油類、灯油類、軽油類など一定の性状を有する廃油は、特別管理産業廃棄物に該当する場合があります。
廃酸は、酸性の廃液です。
工場などから発生する廃硫酸、廃塩酸などが代表的な例です。
強い腐食性を有するものについては、特別管理産業廃棄物として扱われる場合があります。
環境省は、著しい腐食性を有するpH2.0以下の廃酸を特別管理産業廃棄物の対象として示しています。
廃アルカリは、アルカリ性の廃液です。
例えば、工場などから排出されるアルカリ性の廃液などが該当します。
廃酸と同様に、性状によっては特別管理産業廃棄物に該当することがあります。
著しい腐食性を有するpH12.5以上の廃アルカリは、特別管理産業廃棄物として扱われます。
廃プラスチック類は、不要になったプラスチック製品やプラスチックくずなどです。
例えば、廃プラスチック製品、合成樹脂くず、廃ビニールなどが挙げられます。
建設業や製造業など、さまざまな事業から発生する可能性がある産業廃棄物です。
紙くずは、紙や紙製品の製造などに伴って発生する紙くずです。
ここで特に注意したいのが、紙くずは「事業所から出た紙ならすべて産業廃棄物」というわけではないことです。
紙くずが産業廃棄物となるのは、法令で定められた一定の業種・事業活動から発生した場合などに限られます。
例えば、紙・紙加工品の製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業などが対象となります。
したがって、産業廃棄物収集運搬業の許可を検討する際には、「紙くず」という名称だけで判断してはいけません。
木くずについても、一定の業種・事業活動から発生したものが産業廃棄物となります。
代表的なのは、建設工事に伴って発生する木くず、木材・木製品製造業から発生する木くず、パルプ製造業から発生する木くず、輸入木材の卸売業から発生する木くずなどです。
特に建設業では、解体工事などから木くずが発生することが多いため、産業廃棄物収集運搬業との関係でも重要な品目です。
繊維くずも、産業廃棄物となる業種が限定されています。
例えば、繊維工業から発生する天然繊維くずや、建設工事に伴って発生する畳などが該当する場合があります。
衣類など、一般家庭から出る繊維製品がすべて産業廃棄物になるわけではありません。
動植物性残さとは、食品製造業などにおいて原料として使用した動物や植物に係る固形状の不要物です。
例えば、食品製造工程から発生する食品残さなどが該当します。
重要なのは、発生した場所や業種によって産業廃棄物になるかどうかが変わることです。
環境省の通知では、食品製造業等から生じる動植物性残さについて具体的に示されています。一方、飲食店などから発生する厨芥類は、一般廃棄物として扱われる場合があります。
動物系固形不要物は、と畜場や食鳥処理場などにおいて、家畜の解体等に伴って発生する骨などの固形状の不要物です。
動物に関係する廃棄物であっても、すべてがこの分類に入るわけではありません。発生場所や性状によって分類が異なるため注意が必要です。
ゴムくずは、天然ゴムくずなどです。
例えば、ゴム製品の製造工程などから発生するゴムくずが考えられます。
なお、廃タイヤなどについては、単純に「ゴムくず」と考えるのではなく、具体的な廃棄物の内容や処理方法を確認する必要があります。
金属くずは、鉄、アルミニウム、銅などの金属を加工・使用する過程で発生する不要物です。
例えば、鉄くず、アルミくず、銅くずなどが挙げられます。
建設業、製造業、自動車関連事業など、さまざまな事業活動から発生するため、産業廃棄物収集運搬業においても重要な品目です。
ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くずなどをまとめた分類です。
例えば、ガラス片、陶器くず、レンガくずなどが該当します。
なお、工作物の新築、改築または除去に伴って生じたコンクリートの破片などは、次に説明する「がれき類」に該当します。
この違いは建設業から発生する廃棄物を判断するときに重要です。環境省の資料でも、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くずと、工作物の新築・改築・除去に伴うコンクリート破片等は区別されています。
鉱さいは、鉱物を選鉱・精錬する工程などで発生する残さです。
代表的なものとして、高炉スラグや鋳物廃砂などがあります。
また、鉱さいについても、重金属等を一定濃度を超えて含む場合には特別管理産業廃棄物に該当することがあります。
がれき類は、建設工事などに伴って発生するコンクリート片、アスファルト片などです。
産業廃棄物収集運搬業を考えるうえでは、特に重要な品目です。
例えば、建物の解体工事や道路工事などでは、コンクリート片やアスファルト片が大量に発生することがあります。
ただし、「建設現場から出たものなら何でもがれき類」というわけではありません。木くず、金属くず、廃プラスチック類などは、それぞれ別の産業廃棄物として分類されます。
動物のふん尿については、畜産農業に係るものが産業廃棄物となります。
したがって、動物のふん尿という名称だけを見て判断するのではなく、どのような事業活動から発生したものなのかを確認する必要があります。
動物の死体についても、産業廃棄物となるのは畜産農業に係るものです。
動物の死体であればすべて産業廃棄物になるという意味ではありません。
ばいじんは、工場などのばい煙発生施設に設置された集じん設備によって集められた粉じんなどです。
ばいじんについては、一定の有害物質等を含む場合に特別管理産業廃棄物となることがあります。
20種類目は少し特殊です。
これは、先ほど説明した1~19の産業廃棄物を処分するために処理した結果、元の産業廃棄物の種類には該当しなくなったものです。
廃棄物処理法施行令では、1~19の産業廃棄物を処分するために処理したもので、これらに該当しないものを産業廃棄物として定めています。
産業廃棄物を理解するためには、一般廃棄物との違いを押さえておく必要があります。
一般廃棄物は、基本的に産業廃棄物以外の廃棄物です。
家庭から出るごみだけでなく、事業所や飲食店などから出る事業系一般廃棄物も含まれます。
つまり、「事業者から出た廃棄物だから産業廃棄物」という考え方は正しくありません。
例えば、オフィスから出る一般的な紙ごみは、紙くずという名前だけを見ると産業廃棄物のように思えます。
しかし、紙くずは産業廃棄物となる業種・事業活動が限定されています。
このように、廃棄物の種類と排出事業者の業種・事業活動を組み合わせて判断することが重要です。
産業廃棄物の中には、爆発性、毒性、感染性その他、人の健康や生活環境に被害を生じるおそれがあるものがあります。
このような廃棄物は「特別管理産業廃棄物」として、通常の産業廃棄物よりも厳しい規制の対象となります。
例えば、感染性産業廃棄物、廃石綿等、廃PCB等、一定の基準を超える有害物質を含む燃え殻・ばいじん・汚泥などがあります。
したがって、産業廃棄物収集運搬業の許可を取得すれば、どのような産業廃棄物でも収集運搬できるというわけではありません。
特別管理産業廃棄物を収集運搬する場合には、通常の産業廃棄物収集運搬業とは別の許可が必要になります。
産業廃棄物を収集・運搬する事業を行う場合、原則として都道府県知事等の許可が必要になります。
ここで重要なのが、許可を取得したからといって、20種類すべてを自由に収集運搬できるわけではないということです。
産業廃棄物収集運搬業の許可では、取り扱う産業廃棄物の種類を申請する必要があります。
例えば、「廃プラスチック類」「金属くず」「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」「がれき類」など、実際に取り扱う廃棄物について許可を受けることになります。
また、産業廃棄物の種類だけでなく、排出事業者から処分先までどのように運搬するのか、運搬車両や保管場所の有無などについても検討する必要があります。
特に「積替え・保管なし」で産業廃棄物収集運搬業を始める場合には、排出場所から処分施設まで適切に運搬することが基本となります。
産業廃棄物の許可業務を行うのであれば、20種類の名称を暗記するだけでは十分ではありません。
実務では、「この廃棄物は何に該当するのか」「どの業種から発生したのか」「特別管理産業廃棄物ではないか」「複数の廃棄物が混合していないか」といった点を確認する必要があります。
例えば、建設現場から出た廃棄物であっても、木くず、金属くず、廃プラスチック類、がれき類などに分けて考える必要があります。
環境省の通知でも、複数の産業廃棄物が混合した状態で排出された場合には、それぞれの産業廃棄物が複合したものとして取り扱う考え方が示されています。
この点を理解しておくことは、産業廃棄物収集運搬業の許可申請を行ううえでも重要です。
産業廃棄物とは、単に「事業所から出るごみ」を意味するものではありません。
廃棄物処理法では、事業活動に伴って発生する廃棄物のうち、法令で定められた20種類のものなどを産業廃棄物として扱っています。
特に重要なのは、次の3点です。
1.産業廃棄物には20種類の分類があること。
2.紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物系固形不要物、動物のふん尿、動物の死体などは、業種や発生場所によって産業廃棄物に該当するかどうかが変わること。
3.産業廃棄物の中には、感染性産業廃棄物や廃石綿等のように、より厳しい規制を受ける特別管理産業廃棄物が存在することです。
産業廃棄物収集運搬業の許可を取得する際には、まず取り扱おうとしている廃棄物が20種類のどれに該当するのかを正確に把握することが出発点になります。