産業廃棄物収集運搬業許可を取得するための5つの要件を行政書士が解説。講習会の修了、経理的基礎、事業計画、運搬施設、欠格要件について、初めて許可申請をする方にも分かりやすく説明します。

更新日:2026/08/27

産業廃棄物収集運搬業許可の5つの要件

産業廃棄物を収集して、処分場などへ運搬する事業を始めるためには、原則として「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要です。
ただし、車両を用意して申請書を提出すれば許可を取得できるわけではありません。
廃棄物処理法では、収集運搬業を適正かつ継続的に行うための一定の基準が定められています。
産業廃棄物収集運搬業許可を取得するために確認しておきたい主な要件は、次の5つです。

1.講習会を修了していること
2.経理的基礎を有していること
3.適切な事業計画を立てていること
4.適切な運搬施設を有していること
5.欠格要件に該当しないこと

この記事では、それぞれの要件について詳しく解説します。
なお、実際の審査では自治体ごとに確認方法や追加書類が異なる場合があります。


産業廃棄物収集運搬業許可には「5つの要件」がある

廃棄物処理法では、産業廃棄物収集運搬業の許可について、

「その事業の用に供する施設及び申請者の能力が、その事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合すること」
「欠格要件に該当しないこと」

が求められています。
この法律上の基準を具体的に確認していくと、
・講習会
・経理的基礎
・事業計画
・運搬施設
・欠格要件
という5つのポイントに整理できます。
それでは、順番に見ていきましょう。


1.講習会を修了していること

産業廃棄物収集運搬業を適正に行うためには、産業廃棄物に関する一定の知識と技能が必要です。
そこで、許可申請にあたっては、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会を修了していることが基本的な要件となります。
講習会には新規許可申請向けの課程と、更新許可申請向けの課程があります。
法人の場合は、代表者や役員、政令使用人など、自治体が認める対象者のうち適切な者が講習会を修了している必要があるのに対し、個人事業主の場合は、事業主本人などが対象になります。
申請時に使用できる修了証には有効期間があるため、かなり前に取得した修了証をそのまま使用できるとは限りません。
通常、現行許可の満了日から起算して過去5年以内の修了証を有効なものとして扱っており、優良認定を受けている場合には7年以内とされていますが、具体的な取扱いは申請先自治体に確認する必要があります。
そのため、許可申請を考えている場合は、最初に講習会の受講時期を確認しておくとよいでしょう。


2.経理的基礎を有していること

2つ目は「経理的基礎」です。
産業廃棄物収集運搬業は、許可を取っただけで終わるものではありません。
事業を適正に、そして継続して行えるだけの財務的な基盤が必要です。
そのため、申請者が「産業廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎」を有していることが求められます。
法人の場合には、直前3年間の貸借対照表損益計算書法人税に関する書類などを提出して財務状況を確認します。
個人事業主の場合も、資産に関する調書所得税に関する書類などが必要になります。


注意したいのが、赤字や債務超過がある場合です。
赤字だから必ず許可が取れない、という単純な話ではありません。
しかし、財務状況によっては、今後も事業を継続できることを説明するため、追加の資料や収支計画などを求められることがあります。
したがって、申請前には直近数年分の決算書などを確認し、経理的基礎について問題がないか確認しておくことが重要です。


3.適切な事業計画を立てていること

3つ目は、適切な事業計画を整えていることです。
産業廃棄物収集運搬業では、「何を」「誰から」「どこへ」「どのように」運搬するのかを明確にしておく必要があります。
たとえば、建設業者から排出されたがれきを処分業者へ運搬するのであれば、排出事業者、運搬する産業廃棄物の種類、運搬先となる処分業者、使用する車両などを具体的に整理します。
申請時には事業計画の概要を記載した書類を提出します。
また、産業廃棄物収集運搬業では、排出事業者から処分業者まで適正に運搬することが重要です。
「とりあえずトラックがあるから産廃を運びたい」という考え方ではなく、どのような産業廃棄物を取り扱い、どのようなルートで運搬するのかまで事前に整理しておく必要があります。


4.適切な運搬施設を有していること

4つ目は、産業廃棄物を適切に運搬できる施設を用意することです。
ここでいう施設は、主に運搬車両や運搬容器などを指します。
産業廃棄物収集運搬業では、運搬中に産業廃棄物が飛散したり、流出したり、悪臭が漏れたりすることを防止できる運搬施設を有していることが求められます。
たとえば、液状の産業廃棄物を運ぶ場合と、がれき類のような固形状の産業廃棄物を運ぶ場合では、必要となる運搬方法や容器が異なります。
また、車両については、単にトラックを所有していればよいというわけではありません。
使用する車両が適切なものであることや、車両の使用権原を証明できることなども確認されます。
「積替え保管なし」の収集運搬業であれば、通常は積替え保管施設を設けず、排出場所から処分先まで直接運搬する形になる一方、「積替え保管を行う」場合には、産業廃棄物の飛散・流出・地下浸透や悪臭などを防止するための施設基準が加わるため、許可取得のハードルは大きく上がります。


5.欠格要件に該当しないこと

5つ目は、欠格要件です。
産業廃棄物処理業の許可では、申請者が廃棄物処理法上の欠格要件に該当していないことが必要です。
これは、産業廃棄物の適正処理を確保するため、一定の問題がある者について許可を与えない仕組みです。
欠格要件は、単純に「申請者本人に問題がないか」だけを確認すればよいわけではありません。
法人の場合には、役員等についても確認が必要になるほか、一定の株主などについても確認対象となる場合があります。
環境省の申請案内でも、法人の役員や一定割合以上の株式・出資を有する者、政令使用人などに関する書類が添付書類として挙げられています。
そのため、法人で申請する場合には、会社だけでなく関係者についても欠格要件に該当しないか確認する必要があります。


5つの要件をすべて満たす必要がある

産業廃棄物収集運搬業許可は、5つの要件のうち1つだけ満たせば取得できるというものではありません。
講習会を修了していても経理的基礎に問題があれば、許可取得に向けて追加の対応が必要になる可能性があります。
逆に、財務状況に問題がなくても、適切な運搬施設を用意できなければ許可を受けることはできません。
つまり、許可申請をする前に、次の5点をまとめて確認することが重要です。

「講習会」「経理的基礎」「事業計画」「運搬施設」「欠格要件」

この5つを事前に確認しておけば、申請準備を始めてから「そもそも要件を満たせない」という事態を避けやすくなります。


まとめ

産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためには、単にトラックを用意するだけでは不十分です。
産業廃棄物を適正に収集・運搬するための知識と技能、事業を継続するための経理的基礎、適切な事業計画、産業廃棄物を安全に運搬するための施設、そして欠格要件に該当しないことが求められます。
特に初めて許可を取得する場合には、「どの産業廃棄物を、どこから、どこへ運ぶのか」を先に決め、その内容に合わせて車両や運搬容器、処分先などを準備していくことが大切です。
産業廃棄物収集運搬業の許可申請では、申請先となる都道府県や政令市によって細かな確認方法や必要書類が異なる場合があります。
実際に申請する際には、申請先自治体の最新の手引きを確認するようにしましょう。

産廃業の許可
ならお任せ下さい!
メールで相談 LINEで相談