産業廃棄物収集運搬業許可で必要となる「運搬施設」について解説します。運搬車両や運搬容器、駐車場、借上げ車両の要件、石綿含有産業廃棄物や水銀使用製品産業廃棄物を運搬する際の注意点などを紹介します。

更新日:2026/09/01

産業廃棄物収集運搬業許可で必要となる運搬施設とは?

産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するためには、産業廃棄物を適切に運搬できる「運搬施設」を確保する必要があります。
「運搬施設」というと大掛かりな施設をイメージするかもしれませんが、積替え保管を行わない収集運搬業では、主に運搬車両や運搬容器などが中心になります。
本記事では、運搬施設について解説します。


運搬施設には何がある?

「運搬施設」とは、主に次の事項を記載します。
運搬車両その他の運搬施設(容器等)です。
例えば、運搬車両については、車体の形状、自動車登録番号または車両番号、最大積載量、所有者または使用者などを記載します。
また、運搬容器についても、使用する容器を記載する必要があります。


運搬車両はどのようなものを用意する?

産業廃棄物を運搬するためには、取り扱う産業廃棄物の種類や性状に適した車両を用意する必要があります。
例えば、運搬車両の例として「脱着装置付コンテナ専用車」などが挙げられます。

申請時には、使用する車両について、自動車検査証記録事項を確認して、登録番号、最大積載量、使用者などを申請書に記載します。
また、申請する車両については、車両の写真も提出します。
自治体の運用によって異なりますが、埼玉県の場合、写真は車両の前面を真正面から全体が写るように撮影し、ナンバープレートが確認できるように撮影します。
側面についても真横から全体を撮影し、名称等の車体表示が確認できるようにします。


産業廃棄物収集運搬車であることを車体に表示する

すでに許可を取得している事業者の場合、車両には所定の事項を表示する必要があります。

•「産業廃棄物収集運搬車」
•会社名(事業者名)
•固有番号(許可番号の下6桁)

を表示することとされています。
なお、会社名については屋号ではなく会社名を表示する必要があります。
そのため、更新許可などで既に許可を取得している事業者は、車両写真を撮影する際にも、これらの表示が確認できるようにしておく必要があります。


借りた車両でも許可申請できる?

自社所有の車両でなければ許可を取得できないわけではありません。
多くの自治体の手引きには、借上げ車両を登録する場合の申出書が用意されています。
ただし、単純に「車を借りています」というだけでは足りません。
埼玉県の場合、

・車両の賃貸借契約書について
・申請者と貸主との契約であること
・1年以上の賃貸借期間があること
・対象車両の登録ナンバー
・賃貸借期間や料金
・産業廃棄物収集運搬業に使用すること
・独占継続的であること

など、一定の事項が必要とされています。
また、自動車検査証記録事項上の「使用者」と「所有者」が異なる場合には、所有者からの使用承諾書が必要となる場合があります。


駐車場も必要になる

運搬車両を用意する場合には、その車両を保管する駐車場についても確認が必要です。
申請者が所有する駐車場であれば土地の全部事項証明書、申請者が確保した駐車場であれば土地の賃貸借契約書の写しなど、駐車場の確保状況に応じた書類を提出することになっています。
そのため、産業廃棄物収集運搬業を始める際には、車両だけでなく、車両を継続的に保管できる駐車場を確保しておくことも重要です。


運搬容器について

産業廃棄物収集運搬業では、車両だけでなく、取り扱う産業廃棄物に応じて運搬容器を使用することがあります。
例えば、

•廃蛍光灯専用運搬容器
•フレコンバッグ
•オープンドラム缶

などが例として掲載されています。
ただし、すべての産業廃棄物について同じ容器を使用できるわけではありません。
産業廃棄物の性状や飛散・流出などの可能性を考慮して、適切な方法で運搬する必要があります。


産業廃棄物の種類によって運搬方法が変わる

運搬施設を考えるうえで重要なのが、「何を運ぶのか」ということです。
例えば、
水銀使用製品産業廃棄物である廃蛍光灯について、専用運搬容器と緩衝材を使用し、破砕することなく、他の廃棄物と混合するおそれのないよう区分して運搬するとされています。
また、汚泥については、蓋付きオープンドラム缶またはタンク車で運搬することとされています。
このように、単に「トラックを1台用意すればいい」というわけではありません。
許可を取得する品目に合わせて、車両や容器、運搬方法を検討することが重要です。


パッカー車などを使用できない産業廃棄物もある

特に注意したいのが、石綿含有産業廃棄物や水銀使用製品産業廃棄物です。
埼玉県では、石綿含有産業廃棄物や水銀使用製品産業廃棄物について、パッカー車やプレスパッカー車など、構造上、破砕して運搬する車両は使用できないとされています。
また、水銀含有ばいじん等については、ポンプ車など、それ以外の廃棄物と混同して運搬する車両は原則として使用できません。
ただし、1種類専用であれば使用できるとされています。
そのため、車両を購入する前に、取得予定の許可品目と車両の構造が合っているかを確認することが大切です。


飛散・流出を防止するための措置も必要

産業廃棄物を運搬するときには、周囲の生活環境に影響を与えないように適切な措置を講じる必要があります。
申請書に、運搬に際して講ずる措置を記載します。
例えば、飛散防止のため荷台にはシートがけを行うなどが挙げられます。
飛散や流出等について注意が必要な産業廃棄物については、品目ごとに運搬に際して講ずる措置を記載することになっています。


まとめ

産業廃棄物収集運搬業の許可申請における運搬施設は、単にトラックを用意するだけの話ではありません。
取得する許可品目に応じて、適切な車両や容器を用意し、車両を保管する駐車場も確保する必要があります。
さらに、車両や容器について申請書に記載し、写真などの必要書類を提出します。
特に、汚泥、廃油、石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物など、性状や取扱いに注意が必要な産業廃棄物を扱う場合には、その品目に適した運搬方法を準備しておくことが重要です。

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