更新日:2026/09/14
産業廃棄物収集運搬業の許可を取得する場合、実際に運搬する産業廃棄物の種類を正しく理解しておく必要があります。
その中でも「廃油」は、工場や自動車整備工場、製造業など、さまざまな事業活動から発生する産業廃棄物です。
廃油という名前から「使い終わった油」と考えることができますが、産業廃棄物としての「廃油」には、潤滑油や切削油、洗浄用油、廃溶剤など、さまざまなものが含まれます。
ここでは、廃油の定義や具体例、他の産業廃棄物との違いについて解説します。
廃油とは、鉱物性油及び動植物性油脂に係る廃油をいいます。
環境省の通知では、廃油には、潤滑油系、絶縁油系、洗浄用油系、切削油系の廃油類、廃溶剤類などが含まれるとされています。
つまり、単に「食用油の廃油」だけを指すわけではありません。
工場や事業所などで使用された油類や溶剤類など、不要となったさまざまなものが「廃油」に該当する場合があります。
廃油には、さまざまな種類があります。
例えば、自動車整備工場などから発生する使用済みエンジンオイルや、機械設備のメンテナンスなどで発生する潤滑油は、廃油の代表的な例です。
また、製造業などで機械加工に使用される切削油や、機械設備などに使用されていた絶縁油、部品などの洗浄に使用された洗浄用油も廃油に該当する場合があります。
さらに、環境省の通知では、廃溶剤類やタールピッチ類についても廃油に含まれるものとして示されています。
廃油は、特定の業種だけから発生するものではありません。
例えば、自動車整備工場ではエンジンオイルなど、製造工場では機械の潤滑油や切削油などが発生することがあります。
また、機械設備を使用する事業所では、設備のメンテナンスなどに伴って廃油が発生することがあります。
そのため、廃油を収集運搬する事業者にとっては、排出事業者がどのような事業活動を行っているのかを確認し、実際に発生する廃棄物の種類を把握することが重要です。
油状のものだからといって、すべてを一律に「廃油」と判断できるわけではありません。
産業廃棄物は、廃棄物の性状だけでなく、どこから、どのような事業活動によって発生したものなのか、また、その物がどのような状態になっているのかを確認する必要があります。
特に、複数の産業廃棄物が混合している場合には注意が必要です。
例えば環境省の通知では、硫酸ピッチについて「廃油と廃酸の混合物」として取り扱うことが示されています。
また、タンクスラッジ※ については「廃油と汚泥の混合物」とされています。
このように、単純に「油が入っているから廃油」と判断するのではなく、排出された経緯や混合物の内容を確認することが重要です。
スラッジタンクとは、工場や下水処理施設、船舶などで発生する「スラッジ(沈殿物や汚泥、金属粉などの固形物)」を分離・回収・貯蔵するための容器やタンクのことです。
廃油と混同しやすいものとして、「廃酸」や「廃アルカリ」があります。
廃酸は、廃硫酸や廃塩酸などの酸性の廃液、廃アルカリは、廃ソーダ液などのアルカリ性の廃液を指します。
一方、廃油は鉱物性油や動植物性油脂に係る廃油であり、性状や組成によって区分が異なります。
そのため、廃油を収集運搬する場合には、排出される廃棄物が本当に廃油に該当するのか、あるいは廃酸・廃アルカリなど別の品目に該当するのかを確認する必要があります。
廃油は液状の産業廃棄物であるため、運搬時には漏えいを防止することが重要です。
車両や容器から廃油が漏れ出すと、道路や周辺環境を汚染するおそれがあります。
そのため、廃油の性状や量、使用する車両・容器などに応じて、適切な漏えい防止対策を講じる必要があります。
また、廃油を収集運搬する場合には、排出事業者から委託を受けて運搬する廃油が、取得している産業廃棄物収集運搬業許可の品目に含まれていることも確認しておく必要があります。
廃油を事業として収集運搬する場合、原則として産業廃棄物収集運搬業の許可が必要になります。
例えば、自動車整備工場などから排出された廃油を収集し、処分業者などへ運搬する業務を行う場合には、廃油を取り扱うための産業廃棄物収集運搬業許可について確認する必要があります。
また、排出事業所や搬入先が複数の都道府県にまたがる場合には、それぞれの区域を管轄する自治体の許可が必要となる場合があります。
廃油は、エンジンオイル、潤滑油、切削油、洗浄用油、絶縁油、廃溶剤など、さまざまなものが含まれる産業廃棄物です。
一方で、廃油と廃酸・廃アルカリなどの区分が問題になるケースや、複数の産業廃棄物が混合しているケースもあります。
そのため、産業廃棄物収集運搬業の許可申請を行う際には、「油だから廃油」と単純に判断するのではなく、何を、どこから、どのような状態で収集運搬するのかを確認したうえで、必要な許可品目を検討することが重要です。
廃油を取り扱う予定がある場合は、実際に運搬する廃棄物の種類や性状、排出事業者、処分先などを整理したうえで、適切な許可内容を確認しましょう。