
近年、せどりや転売ビジネスが一般化する中で、実店舗での商品仕入れ(店舗仕入)を行う人も増加しています。
こうした取引の中で注意が必要になるのが「本人確認義務」や「帳簿等への記録義務」です。
店舗での取引でも「本人確認義務」や「帳簿等への記録義務」を行う必要があるの?
ハードオフやセカンドストリートなどの店舗で商品を仕入れた場合でも、原則として「本人確認義務」や「帳簿への記録義務」が古物営業法により求められます。
とはいえ、実際の店舗仕入れにおいて、毎回店員に対して本人確認(氏名・住所・職業・年齢など)を求めるのは現実的ではありません。
通常の店舗仕入れでは対応が困難なケースが多いのが実情です。
古物営業法では一定の条件を満たす場合に限り、これらの義務が免除される例も認められています。以下で、その具体的なケースについて解説します。
中古品を取り扱う場合、「古物商許可」が必要になります。これは古物営業法によって定められており、古物商として活動する場合は、以下の「三大義務」を守る必要があります。
古物商の三大義務
・本人確認義務
・帳簿等への記録義務
・不正品申告義務
古物商は、以下のような取引を行う際に本人確認義務が発生します。
・古物を買い受ける場合
・古物を交換する場合
・古物の売却または交換の委託を受ける場合
これらの行為を行う際、古物営業法に基づき、本人確認をすることが義務付けられています。
しかし、上記図のような古物商が買い受ける際の金額が1万円未満の場合、本人確認義務が免除されるケースがあります。
| 買取時 | 売却時 | |
| 1万円以上 | 必要 | 不要 |
| 1万円未満 | 不要(例外あり) | 不要 |
買い受ける際の金額が1万円未満でも、「本人確認義務」が必要な例外も存在する点は注意が必要です。
以下に代表的なものをご紹介します。
・自動二輪車(部品を含む。ただし、ねじ、ボルトなどの汎用性の部品は除く。)
・原動機付自転車(部品を含む。ただし、ねじ、ボルトなどの汎用性の部品は除く。)
・ゲームソフト
・CDやDVD、Blu-ray Discなど
・書籍
これらの物品は、窃盗・万引き・盗難品の流通が比較的多いため、例外的に金額要件1万円未満でも確認義務等が残されている点にご注意ください。
続いて、帳簿への記録義務についてです。
| 買取時 | 売却時 | |
| 1万円以上 | 必要 | 不要(②例外あり) |
| 1万円未満 | 不要(①例外あり) | 不要(③例外あり) |
① 以下の古物は買取時、1万円未満でも「帳簿等への記録義務」が必要です。
・自動二輪車(部品を含む。ただし、ねじ、ボルトなどの汎用性の部品は除く。)
・原動機付自転車(部品を含む。ただし、ねじ、ボルトなどの汎用性の部品は除く。)
・ゲームソフト
・CDやDVD、Blu-ray Discなど
・書籍
② 1万円以上で売却した際に記録が必要になる古物
「帳簿等への記録義務」は多くの場合、売却時には記録義務はありませんが、古物の種類や売却価格によっては、売却時にも帳簿記録が必要となるケースがあります。
・美術品類
・時計
・宝飾品類
・自動車(部品を含む)
・自動二輪車
・原動機付自転車(部品を含む)
③1万円未満で売却した際に記録が必要になる古物
売却かつその金額が1万円未満であっても帳簿への記載義務のある古物もあります。以下が代表的なものです。
・自動二輪車
・原動機付自転車
上記のように、少額取引(1万円未満)でも、盗難・窃盗のリスクが高い古物については帳簿への記載をしなければなりません。
また、帳簿(古物台帳)は記載日から 3年間保存 する義務があります。
ハードオフやセカンドストリートなどの店舗で仕入れを行う場合でも、原則として本人確認および帳簿への記録義務が発生します。
しかしながら、取引金額が1万円未満であり、かつ特定の古物に該当しない場合には、本人確認義務および帳簿記録義務が免除されるとされています。
このため、こうした条件を満たす取引においては、店舗の店員さんに対して毎回本人確認を求める必要はありません。
古物営業法を正しく理解し、適切に取引を行うことで、法令違反のリスクを軽減し、安心して継続的にビジネスを行うことができます。
